版画技法について

版画は大きく分けると4つに分類されまが、凸版・凹版・孔版・平版です。
凸版 木版画リノカット
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凸版:まずは皆さんおなじみの木版画があります。誰でも小学生の頃に経験しておりますからご存知でしょうが、原版の木の彫ってない凸部分にインクが付き、彫った部分は白くなります。日本では浮世絵版画に用いられております。また、ピカソやマティスが好んだリノカットという技法があります。こちらは原版にリノリウム版という樹脂のような加工しやすい素材を使います。

 



凹版
銅版画アクアチント
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凹版:こちらは銅版画に代表されます。凸版画と全く逆に、彫られた溝にインクが入り込み刷られます。一般的に銅版画と言えばエッチングという原版の銅に描いた部分が酸によって腐食され、出来た溝にインクを入れて刷る技法があります。他には、アクアチントという水彩画のような透明感のある仕上がりになる技法や、ドライポイントやエングレービングといった実際にニードルで原版に直接描画し線を彫る技法があります。古くはデューラーやレンブラント等が銅版画を積極的に制作しました。

 



孔版
シルクスクリーン
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孔版:この版画技法は、前出の版画と違い、彫ったり削ったりが必要のない技法です。まずはシルクスクリーンですが、その名の通り、以前はシルク(絹)が版材に用いられ、色を載せない部分には繊維の穴を目止めし、色を載せる部にはその繊維の網目からインクを通し刷っていく技法です。アンディ・ウォーホルやキース・ヘリング、リキテンシュタイン等のポップ・アートの作家が好んで使用しました。明確なはっきりとした色が特徴です。

 



平版

リトグラフ オフセット印刷

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平版:そして、版画の歴史を芸術の域に上げたのがこの技法と言っても過言ではありません。リトグラフです。簡単に説明しますと、こちらは原版が元々は石(現在では金属板等で代用)で、表面を磨き油性のインクやクレヨンで版に直接描画し、原版全体を水で濡らします。そして原版にインクを乗せると描いた油性部分にインクが付着し、水を塗った部分は水は油性質を弾きますから、インクが付きません。そこに紙を乗せてプレスすると描いた部分が刷り上る、といった技法です。色の数だけ原版が必要ですので、多色ほど手間と時間、コストが掛かり大変です。このリトグラフの発明により、ロートレックやミュシャ、ピカソやマティス、シャガールやビュッフェなど、世界的な巨匠が多くの作品を世に輩出し、次々と傑作リトグラフを発表しました。

また、平版の一つとしてオフセット印刷が挙げられます。こちらは写真製版ですので皆さんが印刷、プリント、と認識されているものと思って頂いて結構です。原版自体が写真のようなものなので、版の劣化もなく大量生産できます。特徴は色の三原色である赤・青・黄に黒を加え色を作ります。テレビの画面のような色構成ですので、よく見ると点の集合体が見えます。

 

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弊社取り扱い作品について
リトグラフ(版画)・リトグラフポスター・シルクスクリーン・エッチング(銅板画)etc.

最近では、オフセット印刷やデジタル版画であるジクレー等の技法で制作された複製画が多く見られます。例えば弊社扱いのミュシャは、1900年前後の約100年前の制作になりますヴィンテージ作品ですが、前出した ジクレー等は今年の制作であれば2014年制作となりますので比較的簡単に入手ができます。コストが掛からず大量に現在でも制作されておりますので、安価で売買されております。当時の版画作品はこれから制作されることがないのでどんどん入手が難しくなり希少性が高まります。

弊社扱いの作品は、主にリトグラフ・シルクスクリーン・銅版画といった、歴史ある版画の技法で制作されております。制作年も近年〜100年以上前と古く、部数も限定で制作されました。美術的価値を求められる本物志向のお客様には作家が制作したオリジナル作品、お好きな作品を安く気軽に、というお客様にはエスタンプ(復刻版画)といった幅広いお客様にご利用頂いております。

*「版画辞典 室伏哲郎」「愛と幻想のシャガール・ポスター芸術 サンケイ新聞社」 より写真を参照させていただきました。
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